演奏家を鍛えるのはシビアなお客様
鳥取県選出の某国会議員は最近ドバイにスイカを売り出すという奇策と政府系ファンド設立を連呼している。御存知の通りドバイは現在超バブル状態で、バブルは必ず崩壊する。崩壊した後も一個三万円で売れるのだろうか。政府系ファンドにしても、鵜の目鷹の目のファンドが跋扈する世界市場で、投資慣れしていない日本人に果たして適正な運用ができるのだろうか。議員は思いつきで物を言う―そんなタイトルの本は未だ出版されていないが、小泉以降、この傾向に拍車が掛かって止まらない。彼らは「外国は消費税率がはるかに高い」「永世中立国のスイスは国民みな軍人。日本人にそれができますか」などと、とかく外国を引き合いに主義・主張を正当化しようとする。外国の事情を知らない人は「ふーん」と納得するかも知れないが、外国の場合、いたずらに消費税率が高い訳ではなく、食料品は安いとか、教育・医療費は無料とかの見返りがある筈だ。もちろんそのあたりの説明は故意に避けている。政治家が「外国はこうだから〜」と言う場合、必ず都合のいい部分だけを抜き出して言っていると考えていいだろう。それで騙せると考えているとは、庶民もなめられたものだ。
同じように、高速道路を造れば田舎は再生すると言い続けている。それならば何故玉造温泉は衰退するのか。道路じゃないだろう。米子道が通ったからといって伯耆町が再生したなんて話は聞いたことがない。逆に四国に讃岐うどんを食べに行く者は、そこに讃岐うどんがあるから行くのであって、高速道路が通ってるから行くのではない。そこにしかないからそこに行くのだ。何らかの必然性を伴ってインフラを整備するのなら話は分かる。だが、今の鳥取県の発想は、まずインフラを整備すればそこに何かある筈と、順序がそもそも逆だ。観光誘致に限って言えば、インフラ整備よりも、そこにしかないものの方が遥かに貴重な価値となることは間違いない。
どうにも小泉以降、出鱈目でも何でも開き直って言えば正解という風潮が強くなったように思う。ジャズも同じで、間違っても堂々と演奏すれば、あたかも間違いではないかのような錯覚を受ける。しかしそこで開き直れないのがジャズマン。まだアーティストとしての良心を持っている。「マニフェストを守らないなんて大したことじゃない」と小泉は言い切ったが、さすがに「コード進行守らないなんて大したことじゃない」と言い切るジャズマンは、幸いお目にかかったことはない。異様にピッチの悪い奏者がいて、聞き手が文句を言った際に「楽器もいろいろ、ピッチもいろいろ」などとふざけたこと言われたら、普通激怒するだろう。怒らないのはピッチの悪さに気付かないからだ。「政治家は国民のレベルを反映する」とよく言われるが、そう言われないためにも、ある程度政治家の発言内容を検証する作業も必要となってくる。やはり演奏家を鍛えるために最も大切なのは、シビアなお客様なのだ。
theme : 政治・経済・時事問題
genre : 政治・経済

