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チェット・ベイカー「晩年スタイル」

ジャズ
06 /01 2007
 トランペットの音をフルートの音と聴き間違えたのは、後にも先にも一回しかない。その一回がチェット・ベイカーの晩年の演奏で、「Polkadots and moonbeams」だった。


 ジャズトランペットの即興演奏の場合、5線下のBbより低い音はあまり使わないのが普通だが、チェット・ベイカーは5線下のG、F付近まで割と多用する。一般的なトランペッターの音域を5度低い方にずらした感覚だ。フルートの音と間違えたのは低音域のサブトーン。こんな吹き方があったとは。


 後年のチェットのスタイルは、麻薬の代金の代わりに歯を折られたという肉体的な要因によって創り上げられていった。「最大のピンチは最大のチャンスなり」の諺を身をもって証明した訳だ。その結果チェットは、一般的に全盛期と評される50年代よりも遥かにニュアンスに富んだトーンとヤマ場を32分音符でラウドに吹き飛ばす「晩年スタイル」の確立に成功した。理想の音楽を最先端のスタイルに見出し続けたマイルスも立派だが、一ジャズマンとして、トランペットでの表現にこだわり尽くしたチェットも凄い。


 ジャズのアドリブは普通、テーマをモチーフにテーマのコード進行に基づいて演奏される。瞬間的に思い付いたフレーズや指癖でアドリブを展開していくので、テーマ以上に印象的なメロディというものはなかなか思い付かない訳だが、チェットの場合アドリブにおいても印象的なフレーズを連発し、非常に覚えやすい。コルトレーンの「Giant steps」のアドリブを口ずさめるのは、おそらくジャズミュージシャンだけだろう。しかし「Chet Baker Sings」の「There’ll never be another you」のイントロのトランペットソロを口ずさめる人はジャズミュージシャン以外にも多いのではないだろうか。


 「晩年スタイル」では、あらゆるテンポでコード進行にぴったりと張り付くようなアドリブを聴かせる。アドリブを聴けば、大体のコードがつかめるほど、アウトのないラインだ。同じモチーフを吹きながら、ピアノがコードチェンジした瞬間にモチーフを半音ずらせたり、とにかくコード進行に忠実。バップと言ってしまえばそれまでだが、バップの一言では片付けられないほど、メロディのセンスが図抜けている。案外と「晩年スタイル」を評価する人は少なくて残念だ。書物には決まりごとのように「50年代が全盛期」と書かれ、なかなか正当な評価をする人が少ない。50年代より上手く自由に楽器が吹けていることは、誰よりも本人がいちばんよく分かっていたのだと思う。


※ちなみに、車の修理の話は、ディーラーでは25万円の見積もりだったが、とある工場に持ち寄ったら、夏タイヤ(7分山中古)4本+純正ホイール付きで8万円で済んだ(!)もちろんパワーウインドウも完全復活。エアコンは来週修理。コンプレッサーを一年保証付きのリビルト品にする予定。えらい違いだ・・・

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コメント

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やっぱ、私がブログで主張したことは、ある意味正解だね。

jazz bird

ライフワークはジャズ・トランペット。好きなトランぺッターはトム・ハレル、チェット・ベイカー、パオロ・フレス、市原ひかりさん、山本ヤマさんetc.夏の海が好き。

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